固有値・固有ベクトルとは
固有値とは、
です。
固有値ベクトルとは、
です。
$$ A\vec{x} = λ\vec{x}$$
というのは、あるベクトルに正方行列(A)を掛けても方向が変わらず、大きさだけが変わるような変換をすることを表しています。
この図の場合では、固有ベクトル\(x\)は(1,1)で、固有値\(λ\)は2となります。
正方行列に対して固有値・固有ベクトルはセットなりますが、全ての正方行列に存在するわけではありません。
固有ベクトルは、以下を満たすことが条件となっています。
0ベクトルの場合だとどんな行列にも成り立ってしまうので、当然の制約ですね。
固有値・固有ベクトルの求め方
まず、固有値・固有ベクトルの定義を式変形します。
$$ A\vec{x} = λ\vec{x}$$
$$ (A-λE)\vec{x} = \vec{0} $$
ここで、固有ベクトルの条件を思い出すと、
が導出されます。
$$ det(A-λI) = 0$$
は特性方程式と呼ばれ、この式を満たすλ(固有値)を探していきます。
そして、求めた固有値を元の式
$$ (A-λI)\vec{x} = \vec{0} $$
に代入して、固有ベクトル\(\vec{x} \)を導出することができます。
固有値・固有ベクトル導出の具体例
では、実際に問題を解いてみましょう。
まずは\(det(A-λE) = 0 \)となる固有値λを求めます。
\(
det(A-λE) = 0 \\
\left|\begin{array}{cc}
1-λ & 2 \\
3 & 2-λ \\
\end{array}
\right| = 0\\
(λ^{2}-3λ+2)-6 = 0\\
(λ-4)(λ+1)=0\\
λ=4, \quad-1
\)
それぞれの固有値に対応する固有ベクトル\(\vec{x} \)を求めます。
i) λ=4のとき
\(
(A-λE)\vec{x_{1}} = \vec{0} \\
\left(\begin{array}{cc}
-3 & 2 \\
3 & -2 \\
\end{array}
\right)\vec{x_{1}} = \vec{0}\\
\left(\begin{array}{cc}
3 & -2 \\
0 & 0 \\
\end{array}\right)\vec{x_{1}} = \vec{0}\\
\vec{x_{1}} = \left(\begin{array}{c}
2 \\
3 \\
\end{array}
\right)t_{1}
\)
ii) λ=-1のとき
\(
(A-λE)\vec{x_{2}} = \vec{0} \\
\left(\begin{array}{cc}
2 & 2 \\
3 & 3 \\
\end{array}
\right)\vec{x_{2}} = \vec{0}\\
\left(\begin{array}{cc}
1 & 1 \\
0 & 0 \\
\end{array}\right)\vec{x_{2}} = \vec{0}\\
\vec{x_{2}} = \left(\begin{array}{c}
1 \\
-1 \\
\end{array}
\right)t_{2}
\)
まとめ
ある正方行列\(A\)に対して、\(A\vec{x} = λ\vec{x}\)の式を満たすときの\(λ\)のことを固有値といい、
\(\vec{x}\)のことを固有値ベクトルといいます。
\(A\vec{x} = λ\vec{x}\)の式はあるベクトルに正方行列(A)を掛けても方向が変わらず、大きさだけが変わるような変換を表していました。
固有値・固有ベクトルを求めるには、特性方程式を解いて固有値を求め、その固有値を元の定義式に代入することで固有ベクトルを導出することができます。
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